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  2016/12/05 (Mon)
  保身と誠意


目の前で日々成長をする第一子。
最近はお喋りがすごくて、意思もハッキリしてて、運動能力も伸びていて、私や闖入者それぞれのの性格を確実に受け継いでるのがよく分かる。

お腹の中でウニウニ動く第二子。
家族計画としては一応、子供は2人の予定だから、
もうこの胎動を感じることは人生で最後。
妊娠出産という神秘的かつ壮絶な経験もこれで最後なんだなぁと感慨深い。

自分の人生で、結婚し家族を作ることが出来た奇跡が今だに信じられない。

善い行いばかりをしてきたわけじゃなかったこれまでの人生。
平凡な子供だったけど、聡明な奴でもなかった。
傷つけられたりもしたが、傷つけたくない人に限って傷つけてしまったりしてきた。

自分にとっては「失敗」と表現するより「罪」くらいの重みを感じてる。
相手を『ちょっとくらい許してくれるだろう』と軽視したとたんに傷つけてしまうんだから。

子供の頃から、嘘ついたりズルすると、のちのち悪い事となって自分に返ってくると思い込んでいるタイプだった。
(ウソついた後で別の件で結局ママにしこたま怒られるとか)

大人になるにつれて、処世術や要領の良さを獲得すると、
その「因果応報」への恐怖は薄れていったけれど、
でもやっぱりズルいことすると人を傷つける結果を招いたり、人が離れていったりすることに後から気付くハメになる。
大人になってからの方が厄介だ。

ズルい事っていうのは、大抵は《自己保身》からくるもんだよね。
保身したいが故に都合の良いような思考や行動をしてしまう。
聖人君子でない限り、そんなに倫理的に誠意をもって整理整頓がキチンとできて葛藤もエゴもなく、他人と嬉しい楽しい大好き!なリレーションシップをとるのは難しいと思う。
人生の永遠のテーマ。


闖入者は、らもを好きだと言い始めてからずっと、真摯な態度で接してくれた。


テキトーには済ませられない重厚感漂う勢いで来られるのは、正反対の発展性のないさんちゃんとの関係性に悶々していた現状をぶち壊すくらいの強さがあった。

まるで、自分をかっさらって幸せに導いてくれる白馬に乗った王子様が登場したようで、嬉しい反面、それに抵抗を感じる捻くれた自分もいて揺れていた。

あまりにもスルーできないので、正直に、さんちゃんという断ち切れない存在の話をした。
それでも萎えず諦めず待ってくれている様子の闖入者にはビックリしたが。

さんちゃんとは既に別れていたから、あとはらもの気持ちの整理がつくまで待っていてくれようとしたのだろう。

でも実のところ、らもはさんちゃんとたまに会っていたんだ。
別に闖入者と付き合ってるわけじゃないし、問題ないと思ってた。

でもらもの情緒は不安定さMAXで、何するにもさんちゃんの気持ちを図るようになっていた。
デートもゴハンもキスもセックスも、求めてたクセに心から楽しくなかったな。
この後プロポーズしてくれないかな?そんなことばかり考えてた。
きっとあの頃、さんちゃんの目にも、らもはちっとも魅力を感じない奴に映っていたと思う。

しばらくの間、さんちゃんと会ったり、闖入者と会ったりフラフラする日々が続いてた。
もちろん気持ちはさんちゃんで、闖入者とは誘われるからゴハン食べに行くというスタンスで、自分なりに線引きしていた。
側から見たら二股?弄び?あまり健全ではなかったとは思うけど、闖入者とは体の関係もないしそれを正当化の材料にしていた。
ま、人生こんな曖昧な状況が重なることもあるさと。


そして夏前、らもはさんちゃんに「夏休みに旅行に行きたい」と誘った。
この10年間、旅行に行ったのは1回だけという関係性だったので、このお誘いはもちろん、さんちゃんへの気持ちの推し図りだった。
フリーランスの仕事ゆえに、スケジュールを前もって確定できない(というか性格の問題だろ)と言い張られて過ごしてきたので、らもの夏休みに合わせて旅行に行ってくれるか試したのだ。

答えはなんとYESだった。
信じられなかった。いつキャンセルになるんじゃないかと疑っていたほど。

闖入者には伝える義理なんてないとすら思ったし、当然伏せてさんちゃんと旅行するつもりでいた。
ただし、良い気分はしないだろうから、女友達と旅行するとウソをついた。
これは『必要嘘』だという認識で。


けれど、全く抱える必要のなかったはずの罪悪感が、ある日を境に生まれてしまった。
それは、さんちゃんとの旅行前に突如行くことになった闖入者との京都旅行だ。

あの晩、最後までできなかったものの一夜を共に過ごしたことは、少なからずらもと闖入者の関係を発展させてしまったことに違いなく、
らもは闖入者の気持ちに応えたことになっている。

付き合う/付き合わないという便宜上の契約は交わしてないけども、態度であの晩応えてしまった以上、さんちゃんとの旅行は闖入者にとって『裏切り』に他ならないのは、彼の性格からして明確だった。

京都旅行以降、さんちゃんにも闖入者にも罪悪感でいっぱいだった。
刻々と近づいてくるさんちゃんとの旅行、いつもの様に「仕事の都合」で流れてくれたらどんなに気が楽になるだろう。なんて無責任なことまで思ってた。
かと言って自分からキャンセルしようかと悩みつつつも出来ないままの卑怯者だった。
なんだかあんまり深く考えたくなかったな。正直。

とうとう当日、さんちゃんはちゃんと都合をつけて、宿をとって車で迎えに来てくれた。
皮肉にも、闖入者は友達との旅行だと思っていたので旅先のグルメ情報やらなんやら親切に教えてくれていたもんだから、更に罪悪感に苛まれる。
調子こいて、友達と旅行してる体を装うメールしていた自分に反吐が出そうだった。
でもウソをつき始めると保身が止まらなくなりウソで塗りたぐるしかなくなっていった。

さんちゃんとの旅行は楽しかったけど、仲良く過ごせたけど、終始上の空だった。
闖入者への罪悪感の方が大きくて、つまりはこれまで抵抗してた闖入者の気持ちに向き合いつつあり、
それくらい闖入者の存在が大きくなってることに気づいた。やっと。

そして旅行を終えた翌日以降、さんちゃんと連絡をとることはなくなった。
とはいえ、さんちゃんの事を忘れる日はなく毎日毎日どうしてるかなと気にはなっていた。
けど、もう連絡を取れない自分がいたし、同時にさんちゃんも連絡を一切してこなかった。

不思議といえば不思議なのだが。
楽しかった旅行、でも、きっと馴れ合いの楽しさで過ごせただけで、お互い気持ちなんて入っていなかった。
少なくともらもは。
その事にさんちゃんは気づいていたかもしれない。

元々、去る者追わずな性格のさんちゃんだし、一旦は別れてる関係の私達だし、誠意なんてなくなってて、馴れ合い以外の何ものでもなかったんだよね。ほんと。



夏が終わり、らもの誕生日の夜、闖入者はディナーに誘ってくれた。
「一緒にすごしてくれますか?」と。

そしてディナーの最後に告白してくれたのだ。
「気持ちは伝えてあるし、今更なんだけど、
ちゃんと言うね。俺と付き合ってくれる?」
そう言われた時、腹くくって「はい」って今度こそ返事できた。

情けない話、さんちゃんとの関係性は闖入者なくして終わらせる事はできなかった。
そんな覚悟、自分一人では決められなかった。
なんて弱い人間なんだろう。
ウソいっぱいついたし、バレてないだけで絶対に後でバチが当たる。
最高の幸せを噛み締める反面、罪悪感は拭えなかった。


これからは真摯に向き合っていかなくてはならない。
フェードアウト気味のさんちゃんとの関係性をきっちり終わらせなきゃいけないと思い立って、
勇気を出して電話をした。

優しいさんちゃんは、突然の電話にビックリしていたけど、すぐその晩会ってくれた。
車に乗って、深夜までやってるスタバでコーヒー飲んだ。
さんちゃんとコーヒー飲むの大好きだったなぁと思いながら、他愛ない話をして本題に入った。

「旅行以来、連絡とらなくなってごめんね。」
「いや、らもの誕生日にね、おめでとうってメールしたんだけど、スルーされたからさ、びっくりしつつこんな事もあるんだなぁと思ってたよ、でも俺もきちんと連絡しなかったからね。ごめんね。」
「え?誕生日にメール?くれたの?もらってないよ?」
「送ったよ。送信履歴、ほら。」
「え!ほんとだ。でも届いてないよ、受信履歴、ほら」

本当の本当に届いていなかったメール。
iMessageだったから間違って消すとかはあり得ない。
摩訶不思議過ぎて怖い。
なんかもう、こういうタイミングなんだとしか。

「らもね、さんちゃんが大好きでずっと一緒にいたくて、それが次第に結婚願望に変わってから、結婚したくてたまらなかったよ。
でもさんちゃんの価値観も理解してたから、それに寄り添いたい気持ちもあったんだよね。
結婚だけが全てじゃないし、好きという気持ちがあればいいと思うようにしてた。
でもどこかで、正直な自分の価値観を捨てきれないし、捨てる必要もないとも思ってた。
だから、一緒にいられるのは嬉しいはずなのに辛くて、最後の方は気持ちを推し図るばかりで辛さが上回ってた。
さんちゃんのせいでも何でもなくて、ただ残念な結果ということなんだろうと思うよ。
だから、もうお別れするね。決めたよ。」

「一緒にいるのが辛いと思わせてしまうなら仕方ないね。」

ここで『ごめん』とか謝らないところがさんちゃんの良いところ。
そう、らもが結婚を望んだ以上はもう無理なんだ。
残念だけど。

もっともっと、10年間の感謝の気持ちとか伝えたいことはたくさんあっただろうに、何だか出てこなかった。
「今までありがとう」と言ってお別れした。
「じゃあね、らもちゃん、ありがと。」と言われた。


こうしてやっと誠意をもって闖入者に向き合える第一段階を整えたわけだ。
時間がかかって、人を騙して、保身にがんじがらめになり…
人生で自分と結婚をしたいと言ってくれる人が現れた最高潮の時に、同時に、人生で一番最低な自分にぶち当たった。

最大の経験で勉強だったと自覚している。

この後、らもの最低な保身話はまだまだ続くんだけど、それは後日。

とりあえず、今は最愛の夫である闖入者と、最愛子供達を持てた奇跡に、
わたしは一生掛けて応えていかなくてはならない。

わたしの結婚における覚悟や、感じる愛おしさは、こういった背景があったことを記しておきたい。





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プロフィール

らも

Author:らも
30歳
せこせこ働いていましたが、出産のために育休中。

元カレシ:さんちゃん
12コ上の結婚したがらないオッサン。
お別れしました。

闖入者[chin-new;sha]:
らもをあきらめない、らもを大好きな人。
らもと5ヶ月のスピード婚をはたす。

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